アナザーストーリー side シルバーケープ8
「それに私、今、他のお仕事で忙しくてあなたに構ってる時間ないんですよ。ほら。」
フードの女が先ほど抜けて来た茂みの方を指差す。白継は、嫌な気配を感じ取り、そちらを振り向いた。
白継が見たものは空を埋め尽くす無数の黒い塊。烏の群れだ。
「あっ……あっ……。」
カァッ!!!
フードの女の周りを飛んでいた烏が大きな鳴き声をあげながら、女の肩にとまる。
どれ程の数がいるのか想像もつかない。
しかし、分かることがある。
あれはすべてを飲み込む"黒い絶望"だ。
「この辺りの島のいくつかを"私たち"の実験場にするために制圧しに来たんですよ。いいですよね?"監視者"さん。」
ゾクリ……。悍ましい程の殺意。
肌が痛い。内臓が締め付けられるようだ。
白継は自分が監視者だと知られていることなど、もはやどうでもよかった。
「それでは、烏たち。最初に言った通りです。必要な子たちは残して、それ以外はいりません。ちょっと"掃除"をしてきてください。」