アナザーストーリー:アトラスの軌跡(序)
だからこそ、雨乞いの儀を執り行う際には大天使ミコエルを護るための厳重な警護の準備をせねばならない。
さらに、祈りの歌の効果を最大限に引き上げられる祭壇の設営、祈りを捧げるための信徒の招集なども必要だとなる。
"自然を操る"とはそういうことだ。
アトラスの軌跡の成功に必要なものは、大天使ミコエルのスキルだけではない。
そもそも捧げられる"歌"に込められた力が大きくなければ大天使に人々の祈りが届くことはない。
かつての雨乞いの儀に捧げられた曲は"伝説入り"を果たしたことで、人々の耳に触れることはなくなってしまった。
今となっては、どのような歌かを知る者はかつての神々と大天使のみとなっていた。
それほどの力を持つ新たな歌を創る者、"歌い手"が現れなければ儀式は成立しない。
しかし、レミルメリカの歴史の中で、世界を救える力を持っていた歌い手はたった1人。
たが、その者はすでにいない。
人々は待った。新たな"歌い手"の誕生を。
そして、いつしか噂が流れた。
歌を力に変える者、吟遊詩人こるんがいるという噂が。
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