外伝:出会い5
私より少し背が高い。
整った顔立ち、澄んだ瞳。
彼は私にとって近くで見る初めての男の子だった。物珍しそうに、ずっと顔を見ていると男の子は私の前に低くしゃがんで突然私の手をとった。
「僕はファンド。セレスティア王国の王子です。お名前を教えて頂けますか?」
近い年には思えない口調と雰囲気。
「ヲキチ……と申します。」
スカートの端をもってご挨拶をしようと思ったが、片手を握られていて、ぬいぐるみを抱いていてどうしようもない。
ちょっと困った顔をしてしまったのかもしれない。でも、彼はニコリと笑うとこう言った。
「可愛いぬいぐるみですね。その子のお名前も教えて頂けますか?ヲキチさん。」
私が初めての恋に落ちるのにそれほど時間はかからなかった。