アナザーストーリー:吟遊詩人1
「できた……ついに完成した。」
私の魂を注ぎ込んだこの歌があれば、大天使ミコエルに力を届けることができる。
雨乞いの歌。
……………………。
………………………。
…………………………。
まだ思い出すと身体が少し震える。
吟遊詩人こるんは、少し前のことを思い出していた。
"彼ら"と邂逅した時のことを。
砂漠地帯へ足を運んだ時、私は"砂漠の民"に雨乞いの儀のための歌を創ることを依頼された。天使に祈りを届けて欲しいと。
だから私はミコエル神殿に赴いた。
まきの……いえ、まきエルは、信徒たちの言葉だからと快く聴いてくれた。
そして、彼らだけが知る"伝説入り"の歌のことも教えてくれた。
私ならきっと書ける。
根拠のない強い自信が私にはあった。
ミコエル神殿でまきエルに会ってから数日後。私は自ら各国の重役たちと接触した。
セレスティア王国のクリスエス
プロムナード王国のKAI
他の国にも伝わるようにしておいた。
私はこれで世界一の吟遊詩人となる。
私の歌が世界を救うと噂になるはずだ。
そう思っていた……。