アナザーストーリー:吟遊詩人4
「火をかけたままにするのはよくない。止めておいたぞ。」
誰かいる。まさか2人目がいるとは。
「美味しそうな匂いがしてるわねえ。これ、食べてもいいかしら。」
3人!?
いつの間に3人もここにいたの!?
「あ……あ……」
恐怖で声が出ない。
「そう怖がるな、吟遊詩人。いな実さん、殺気を止めてやってくれないか。可愛そうに話せなくなっている。」
殺気……この震えの原因が?
「はいはい。これでいいですか?このくらいで根をあげちゃうなんて、吟遊詩人も大したことなさそうですね。」
急に身体が軽くなった。
「ごめんねぇ。この人たち、手加減とかあまり知らないから。」
この声、男性?女性?
黒いヒラヒラとした服を着ている。
「ちゃんと手加減くらいできますよ。闇姫Pこそ、遊び癖が抜けないくせに。」
立花いな実、闇姫P。
聞いたことのない名前だ。
「あ、あなたたちはいったい。」
次元の違う強さを感じる。
言葉を選ばなければ、私は殺される。
こんなところで死ぬわけにはいかない。
私は世界一の吟遊詩人になるんだから。