アナザーストーリー:吟遊詩人7
なんてやつだ。
「どうするの?こるんさん。もし遅らせずに死にたいなら烏さんたちにお願いして、食べてもらうこともできるけど?」
立花いな実の手に乗った烏がグワアッとひときわ大きな声で鳴いた。
もはや私に選択肢はない。
「分かりました。1ヶ月は遅らせます。でも、砂漠地帯を考えるとそれ以上は。」
これが最大の妥協線だ。
砂漠地帯の被害は深刻で、すぐにでも儀式をお願いしたいと、祭壇の準備を急ピッチで行なっているとさえ聞いている。
「1ヶ月もあれば十分です。よかったよかった。これで契約成立ですね。こるんさん、曲の進捗だけたまにお聞きしますので、お答えくださると幸いです。ん?どうしたんですか?rainydayさん。何か問題でも?」
顧問Pの口調が軽くなる。
「よかったわねえ、このくらいで。でも、こるんって言ったかしら、あなた、私たちと同じ"こちら側"の人間でしょ?」
私がこいつらと同じ?
闇姫Pが何を言っているのか分からない。
「だってあなた"自分のために"しか曲を創っていないでしょう?」
再び背筋に寒気が走った。
#ボカロ丼異世界ファンタジー