アナザーストーリー:司書2
図書館の建物は、元々、王家の宿泊施設となっていた場所を先先代の国王が国民の教育力向上のためと改修に取り組んだものだ。国を巻き込んだ大きな戦争で一部が焼失したが、神殿の地下にある図書館へと本を移していたことで難を逃れた。
図書館のドアの前に立ち"開錠"の魔法を唱えると、カチリと音を立てて鍵が開く。慣れた手つきで静かにドアを開け、中に入る。まだ明かりのついていない屋内は、明かり取りの窓から入る淡い光にだけ照らされている。入ってすぐさま目に飛び込んでくる光景は、先が見えない程、長く長く奥へと続く本棚であろう。
この建物の内部は、魔道具によって亜空間に"収納"されている。入り口の開錠が魔道具の起動スイッチとなり、今ある場所と異なる場所を繋いでくれる。棚は見た限り幾重にも重なっており、棚の隙間を通ることもできるようになっている。入り口のドアをくぐると、目の前には小さな受付がある。
ここが"彼女"の定位置だ。ここにある数億を数えるかという本は、すべて彼女の管理下にある。本に何かあればすぐにわかるようになっている。
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