「あれが目的地ですよ。」
1時間も歩いてはいないと思うが、それなりの距離を歩いたと思う。草原の真ん中に、ポツンと小屋のようなものが建っている。小屋とは言っても、それなりの造りで、石積みの煉瓦でしっかりと家の周囲は固められている。ここに転移の魔法が使える人がいる。
「あれがセレスティア草原を管理している方の家ですよ。」
タダトモさんが教えてくれた。広い草原だから管理者が居ても不思議じゃない。
「彼自身も"動物"ではありますからね。本来は王都に家もあるんですが、自分に転移を使うのは面倒らしく、ほとんどここに住んでいるんですよ。」
どんな人が出てくることやら、いや、人じゃない可能性も高いのか。
「僕、呼んで来ますね。隊長、隊長〜。」
隊長?まさか……あの人か?
「誰だ。俺は忙しいんだって、なんだ、タダトモのボウズか。」
鳥だった。赤か、黄色か、判別しづらいが、見た目可愛いらしい。話し方とのギャップが凄まじい。
「ごーぶす殿。ただいま戻りました。」
はなぽさんが挨拶する。
「はなぽさんも一緒かよ。てことは、改修が終わったんだな。」