アナザーストーリー:選抜4
「私にいくら言おうが、首を縦には降りませんよ。うちの団にあと若いメンバーって誰がいましたっけね。」
よだかも、自分が行きたくないから代わりに誰かを探しているようだ。剣闘師団の若い団員にとって、団は居心地が良い。上下の隔たりなく、実力で立ち振る舞いができる環境を好き好んで出ていく者は多くないだろう。
「給料も出すし、住む所も貸すって言ってんのに、何が嫌なんだか。女でも探しに行ってこいよ、まったく。」
kentaxは団長でなければ、自分が行くとでもいい出しそうな雰囲気だ。
コンコン
「誰だ。来客中だが、入っていいぞ。」
kentaxは先ほどまでの口調を突然団長としての威厳を出すものへと切り替える。
「失礼しますよっと。」
ドアを開けて入ってきたのは1人の男。メガネをかけ、飄々とした雰囲気だ。
「団長さん、困ってるみたいですね。」
三国奏。ボンドPの称号を持つ男。
プロムナードの出身で、幼い頃からいくつもの国を渡り歩き、なぜかセレスティア王国の剣闘師団入りを希望した。自由を好むが、仕事はできる。