アナザーストーリー:招かれざる客12
晴れた霧の先に夕立Pはいない。
バサッ、バサッ、バサッ
これは……羽音?
切身魚は上を見上げた。
「まさか……。」
切身魚の上にいたのは、赤く燃える火の鳥だった。全身が燃え盛り、頭も羽根も尾も、あらゆる場所に火が灯っている。長い嘴、鋭い眼光、すべてが威圧的だ。
「"ジャッジメント・ザ・デイ"は、自身に空想上の怪物、不死鳥"朱雀"の力を宿すスキル。擬態は使えなくなりますが……。」
夕立Pが羽根を思い切り羽ばたかせると、羽根から炎の渦が舞い上がり、切身魚を襲う。
轟音と共に炎の渦が着弾し、爆風が起こったが、渦が消えた後にも切身魚は浮いていた。
何かで防いだようだが、手には少しばかり火傷の跡がある。
「パワーだけなら段違いですよ。」
スライム種がまさか不死鳥の力を使うとは想定外だった。不死鳥はその名の通り、いくら攻撃を受けても再生を繰り返す。見た目の通り、炎の技を使うようなので、おそらく水や氷の魔法であればダメージを与えることはできるが、再生能力を上回るダメージでなければ倒すことはできない。
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