アナザーストーリー:招かれざる客18
頭に生えた2本の丸く大きな角。初見で羊を模したものだと分かるその角は彼らの種族の代名詞である。淡い緑と青の入り混じった髪。子どものようにも見えるが、幼さよりも整った顔立ちが目を惹く。簡素な鎧を身につけているが、体躯よりも大きく見える斧を軽々と担ぐ。
「ラムド……さん?」
切身魚は力なく声を発する。ラムドと呼ばれた青年の足元には、切身魚の猫が立っていた。猫は切身魚の様子を見ると心配そうに近寄ってくる。
「救難信号を受けたけぇ助けに来た。まさか猫を使いに出してくるたぁ思わなんじゃけぇ最初は何かわからんかったがな。」
切身魚は夕立Pの侵入に気がついた時、外に猫を放ち、冒険者・魔物ハンターの協会に向けて救援を頼んでいた。
この時間帯に誰がいるかは分からない。誰かが気が付いてくれるかも分からない。それでも切身魚は賭けたのだ。
「猫の言葉が通じる獣人がいてえかったの。命拾いしたぜぇ、切身魚さん。」