アナザーストーリー:招かれざる客22
「ラムドさん……避けて……ください。」
ラムドPは切身魚に回復の魔法をかけているところだ。
「もうちぃとじゃけぇ動くなや、切身魚さん。」
切身魚の傷は思ったより重症だ。魔力が枯渇していて、うまく傷がまだ塞がり切らない。
「それに、ここに来とるんは2人ばっかしじゃぁねえからなぁ。」
その言葉が終わらぬ内に、ラムドPの背後に迫った炎の渦が"何かに呑み込まれたかのように"消えていく。
「あんたがこの国にきちょるこたぁ分かっとったし、呼んでおいて正解じゃったよ、なぁ、喜兵衛さん?」
ラムドPと切身魚のいる場所のさらに後ろ。いつからそこに居たのか、本棚の前には雄々しく立つウサギの獣人の姿があった。
「私がこの国にいるからと言って、こんな時間に急に呼び出していいわけではありませんよ、ラムドPさん。」
暗い本棚の陰からゆっくりとこちらへ歩いてくる。
「喜兵衛…….喜兵衛だと!まさか"マケッツ"かっ!」
夕立Pが驚きの声を上げる。
「"マケッツ"……そんな。」
切身魚も驚いているようだ。