「お互い、戦闘向きではありませんからな。ここは、ドイルさんに任せましょう。」
はなぽは、ドイルならば先ほどの攻撃を受けても反撃に転じるだろうと思っていた。
ちょうど時を同じくして、ごーぶす、ライチョー隊長Pは目を覚ましていた。まだ頭が少しフラフラしていて、身体には何か痛みが残っている。
どうやら少し気絶していたようだ。そして、撃たれたことを思い出したかのように横になったまま自分の羽を見る。傷ひとつない。
だが、先ほど撃たれたことだけは間違いない。油断していた。魔方陣を狙って来る奴がいることを想定しておくべきだった。
「平和ボケしたか。」
ごーぶすは、ゆっくりとその身を起こした。羽を広げて感覚を確かめる。動く。感覚を確かめると、ごーぶすはスキルを発動する準備に入る。
スキル"成レ果テ"。
このスキルを封印するためにごーぶすはセレスティア草原の守護者を引き受けた。広い草原の中の小屋にいて、時折魔物を倒し、時折ミコエル神殿で大天使に祈りを捧げる。それで良かった。
"かつての大戦を生き抜いた"ことで得たライチョー隊長Pの称号は伊達ではない。