アナザーストーリー:異世界七夕日和2
「しかし、たしかに不思議ですね。こんな紙で願いが叶うとは。」
ラングドシャPは自分が願い事を書いた紙をひらひらさせている。
「そう言いながらきっちり願い事書いとるんが、ズクさんよな。」
ラムドPは笑いながら、飾り付けを終えて梯子を降りる。図書館の入り口の上側から笹を垂らすように置いた。今日、図書館に来た人には願い事を書いてもらおうと切身魚は考えている。
「ラムドPさん、ありがとうございます。そういえば、この七夕という文化には、織姫と彦星という男女のお話もございまして、せっかくですからお茶でもしながら語ると致しましょう。そろそろナチュラルPさんもいらっしゃるはずですし。」
切身魚は腕に抱いていた猫を地面に下ろし、お茶を入れる準備に入った。ちょうどドアを開く音が聞こえる。お茶会を催すということで、切身魚は学園長をご招待していたらしい。
「語るのは一年に一度しか会えぬ男女の話。さて、この国を治める男女は、いかにお過ごしのことでしょうか。」
切身魚は王宮にいる仲睦まじい王と王妃のことを思い浮かべるのだった……。