アナザーストーリー:審問者5
クリスエスの速度はすでに常人の域にない。
剣闘師団を取り囲むようにいる狼の魔物の群れに外側から切り込み、1頭目の首を切断した。
「脆い。」
狼の首が地面に落ちる前に、次の狼に走り、一閃。鳴き声を上げる暇もない。
クリスエスは竜人族。生まれながらにして竜の力を宿す者。3頭目の首を切り落としたところで、狼たちがクリスエスを視認した。
ウォオオオオオオン
雄叫びと共に剣闘師団を取り囲んでいた狼の約半数がこちらに向かってくる。
「10頭程度で、俺を屠るか?ぬぅん。」
クリスエスの背中に羽根が現れた。その翼はドラゴンのそれである。夜の闇の中、羽根を広げたクリスエスが浮かび上がる。
「さぁ、踊れ。」
そのまま、狼たちの群れに突っ込んでいく。早い。ザンッという音が聞こえた時には、すでに2頭の首が落ち、クリスエスの剣には血がネットリと付いていた。
ヒュッという風切り音と共に剣の血をふるい落とす。これで5頭。
#ボカロ丼異世界ファンタジー