アナザーストーリー:審問者7
剣闘師団側の森の奥から、目の前に並ぶ狼たちを2回りは大きくしたような魔物が出現した。個体名"ウインドウルフ"。
魔物化した際に狼のリーダーが変化したものだろう。ウインドウルフになると、魔力が増大し、嵐を起こすような魔法まで使用できるようになると聞く。
「ウインドウルフまでいたとはな。よかろう。剣闘師団!」
クリスエスが一際大きな声をあげた。
「敵の囲いの一点を突破し、その場より離れよ。さぁ、声なき獣たちよ、我が力を知るが良い。"ヘイト"」
ヘイトは、文字通り周囲にいる敵の注意をすべてこちらに向ける魔法だ。防御に特化した守備型の戦士たちや、大規模な殲滅魔法を得意とする魔法使いたちが覚えていることが多い。クリスエスは単騎にも関わらず、その魔法を覚えている。つまり、彼もまた広範囲に敵を殲滅する技を備えているということに他ならない。
剣闘師団を囲んでいた狼の魔物、ボスとも言えるウインドウルフ、その全てがクリスエスに敵意を露わにしている。
「スキル発動"異端審問"」
クリスエスがそのスキルを発動した。
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