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どちらも単なる力技だが、効果はあった。

「どうして……?」

そらうみれいが不思議そうに尋ねる。

「分かんないけど、寝覚めが悪そうだったからだよ。」

ドイルはごーぶすがいるであろう、猛毒の発信源を見つめている。春沢翔兎はまだ気絶しているようだ。

「とりあえず逃げるんだろ?えいさんたちの目的だった転移の魔方陣はもう沼の下にあるし。」

転移の魔方陣はすでに半分以上が猛毒の沼に沈んでいた。ごーぶすさんを止めたところで、使えるかどうか分からない。

「マキエイ。」

突然声をかけられた。

「なに?」

ドイルはなにを言われたのか分からない様子でそらうみれいの方を振り返る。

「マキエイ。名前。」

そらうみれいは、初対面でよく分からない相手の前ではこの名前を使っている。春沢翔兎にあった時にも、初めての時はこの名前だった。ドイルはそんなことを知る由もないが、そらうみれいが偽名とはいえ、名前を伝えることなど滅多にないことであった。

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