「ここまで離れていれば大丈夫でしょうが。ドイルさんはいったい何をしておられるのか……。」
はなぽは"成レ果テ"の特性を知っていた。あれは、全方位に広がるのではなく、使用者の周辺から使用者が広げたいと思う方向へと拡散していく。だから、この小屋には猛毒は来ない。
「ドイルさんは、あの春沢翔兎という獣人を助けようとしてるんじゃないですか?」
タダトモにはそう見えた。
「あの獣人、先ほど足に毒を食らったようですし、かなり危ないと思うのですが。しかし、先ほどまで戦っていた者を助けるとは、なかなかどうして。」
はなぽは関心しているようにも見える。
「はなぽさん、ごーぶすさんのあれって止められるんですか?魔方陣まで毒に浸かってるみたいですけど。」
タダトモは心配そうだ。
「スキルの内容は聞いたことがあるので知っていますが、見たのは初めて、止め方までは分かりませんよ。」
ライチョー隊長Pのスキルを知る者は少ない。はなぽですら、偶然聞かせてもらった程度である。
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