アナザーストーリー:小さな火種5
「今回は"武器なし"ってハンデつけてるだけマシだろ?」
獣人族の多くは、自らのスキルに合わせた武器をもつことが多い。ミストファイナーのハンマーがそれに当たる。しかし、京橋ひよわとTAKUMIは、武器を持っていない。
「武器に頼ってるようじゃ、まだまだだ。ミストファイナー、振り回すだけが武器じゃないだろ?」
TAKUMIはミストファイナーがフラフラと立ち上がるのを見ていた。そこそこのダメージを受けたらしい。
「"ハウリング"」
立ち上がると同時にミストファイナーが魔法を唱えた。ハウリングは反響の魔法。音を増幅し、敵を撹乱するものだ。
グオオオオオオ
熊の雄叫びだった。音が周囲に拡散し、京橋ひよわとTAKUMIの元へも音の塊が飛んできたような衝撃を放った。
「荒っぽいねえ。」
TAKUMIが笑う。ミストファイナーは、2人の動きを止めたと思い、再びTAKUMIに向かってハンマーを構えて突進してくる。