アナザーストーリー:小さな火種9
「おお、さこつさん、立会人をありがとう。」
TAKUMIが声をかけたのは、さこつという猫の獣人。レッドカードPの称号をもつ者だ。
「いいけどさ。あとでちゃんと立会の報酬くれよ。」
さこつは、指でお金のマークを作って見せる。
「ミストファイナーからもらってくれ、あ〜ねみぃ。」
京橋ひよわは、欠伸を噛み殺している。
「さて、俺はそろそろ次の約束に行くとしよう。ミストファイナーが目覚めたら、決闘はまたいつでも受けると言っておいてくれ。」
TAKUMIはそう言い残すと颯爽と走り、その場から消えていった。
「忙しいやつだなぁ。しかし、いつまで寝てんだ?ほら、起きろ。」
京橋ひよわがペシペシとミストファイナーの頬を叩くと、ピクリと反応した。
「ん、んん。」
ミストファイナーが目を開ける。少しボーッとしていたが、すぐに状況を理解した。
「また勝てなかったか〜。つええな〜。」
起き上がったと思ったが、大の字になって再び地面に倒れる。そう、ミストファイナーにとって決闘は恒例行事のようなものなのだ。