アナザーストーリー:小さな火種10
「あの2人を同時に相手にするとかどんだけだよ。」
さこつが呆れた口調で言った。
「強い人と闘わないと、強くなれませんから。」
ミストファイナーはハンマーを支えにして立ち上がる。まだ戦い足りないという表情だ。
「立会人だからいいけどよ、俺は遠慮したいわ、結局スキルも武器もなしであの強さだしな。」
さこつは京橋ひよわの方をちらりと見た。
「さこつさんに言われたくありませんけどね。」
京橋ひよわも言葉を返す。互いに強さが分かっているからこそ出てくる言葉だろう。
「お2人の強さは知っていましたが、これほどとは。」
ミストファイナーは、ここ最近、色々な相手と決闘を続けているらしいと、京橋ひよわも聞いていた。
「そんなに連日決闘ばかりして大丈夫か?」
京橋ひよわがミストファイナーに決闘を挑まれたのは、これが2回目。Mr.HedgehogことTAKUMIは3回目だそうだ。
「俺は強くならなきゃいけないんです。」
ミストファイナーの言葉には決意と、そして焦りが見て取れた。