アナザーストーリー:強さの果てに5
「ぐうぅぅぅっ。」
肉が焼けるような痛みだ。見ると、ワニの魔物から放たれた石の礫が当たった部分の皮膚が焼けただれたようになっている。あまりの痛みにミストファイナーは膝を折る。
痛みの正体は"酸"。ワニの胃液は非常に強力で、動物の骨すら溶かしてしまう。先ほどの石にはワニの胃液が付着していたのだ。
「痛みが引かねえ。」
あまりにも強い酸の攻撃だ。ミストファイナーはまだ若い獣人で、魔法もそれほどうまく使えない。回復魔法は使えない。先の2人の獣人とのダメージを回復するため、持っていた回復役も使い切った。
ひとまず、飲み水として持っていた水を患部にかける。まだズキズキと痛みはあるが、マシにはなった。
もう石飛礫はくらえない。
「グガアァァァァァ!」
ワニの魔物は叫び声をあげると、再び尻尾で攻撃を仕掛けてくる。これをかわせば、また石を飛ばすつもりだろう。
「同じ手はくわねえよっ。"能力向上"。」
ミストファイナーは身体機能が全体的に少しだけ強化される魔法を使い、前進する。
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