アナザーストーリー:強さの果てに10
ー親しげに惑わせるー
「受け止めるしかない。"能力向上"。」
能力向上が発動し、ミストファイナーの身体は強化される。また、巨大なワニの魔物が突進してくるのが見える。
ミストファイナーには何も分からない。
何が起こっているのか。自分が発動した魔法が自分のものではないように錯覚する。
ー懐かしいその響きがー
「力が欲しくありませんか?」
声の主はミストファイナーからの答えを待っているかのようだ。
ー頭から離れないでー
「力?」
迫りくるワニの魔物のことには目もくれず、せまる顎を気にすることもなく、ミストファイナーはその声に応えた。
ーついさっき閉めた蓋をー
「そう……すべてのものを滅ぼす力です。」
その刹那、目の前にいたワニの魔物が消えた。まさに一瞬。どこに消えたのかすら分からない。