アナザーストーリー:雨乞いの地へ1
「ミコエル様、まきエル様より報告が上がってきました。」
ハザマノセカイで羽根と傘に十分な魔力を溜めた大天使ミコエルは魔力を失わぬよう、護衛のモケケと共に静かな時を過ごしていた。
「進捗はどうですか?」
まきエルは雨乞いの儀を執り行うための祭壇づくりをミコエル教徒の人々と急いでいたはずだ。吟遊詩人のこるんは雨乞いの歌の作成を、そして、桐……いや、桐エルが砂漠地帯に赴いていたはずだ。
モケケからの報告では、すでに各国へ雨乞いの儀を行うことは報告済みで、承認も降りているとのことだった。
砂漠地帯の住民たちから、連日のように祈りが届けられているとも聞いている。
「雨乞いの儀の準備が整ったとのことです。まきエルは神殿を完成させ、すでに桐エルと合流しました。吟遊詩人こるんからも歌の完成報告が上がってきています。」
ミコエルの羽がふわりと広がる。
「できましたか。それじゃあ、私たちもそろそろ行かないとですね。」