アナザーストーリー:国境線の獣6
後ろ?いや、何もいなかったはずだ。魔物ハンターたちが指をさして走ってきている。
「上だ!」
聞こえた!上?どこの上だ?
まさか。
ぱるふは後ろを振り向き、関所の石壁の上を見上げる。
熊だ。
正確にはそこにいたのは熊の獣人だった。
手に握られた巨大なハンマー。
獣の皮を被ったような二足歩行の獣人だ。
しかし、ハンマー以上に、獣人から溢れ出るような魔力を感じる。オーラとでも言うのだろうか、全身が赤黒く発光し、ハンマーまで及んでいる。
その時、ぱるふは、熊の獣人と目が合ったような気がした。
そして、熊の獣人が大きく跳ねた。
その跳躍力は、ぱるふの知る獣人族とは比べものにならない。
ぱるふを軽々と飛び越える。
飛び越える?
はっ!いけない!
「避けて!」