アナザーストーリー:到着、吟遊詩人2
「ありがとうございます、まきエルさん。早速ですけど、これ、雨乞いの歌の"歌詞"です。」
こるんは一枚の紙を手渡す。まきエルはそれを受け取ると目を通す。
「ほう……これは。」
まきエルは息を漏らした。
世界が干上がる
バスの外は灰色
草木は立ち枯れ
小川は水を求める
雨よ降れ この地に
恵みをもたらせ
燃える山を頼りに
天へと祈りを届けるのだ
天へと祈りを届けるのだ
「素晴らしい。まさに恵みの音。文字を見ただけで、メロディーが流れてきそうです。」
まきエルは歌を気に入ったようだ。
「儀式では、歌に魔力を乗せて流します。そのためには言葉も大切ですから。」
こるんは、笑顔で言葉を返す。
「それでは、こるんさんも来られましたし、雨乞いの儀、最後の打ち合わせを行いましょう。これだけの警備です。何も起こらないとは思いますけどね。」