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特別編:祭りの期間11 

「ようこそ図書館へ。何かお探しですか?」

切身魚が声をかけたのは、その者が図書館へ初めてくる男だったからである。

「探しているのは、本ではなく人でしてね。それにしても祭りの日でも図書館を開けていらっしゃるとは驚きました。」

顔を隠すでもなくその男は入って来た。入ってからしばらくは本に囲まれた部屋の中をきょろきょろと見回していたが、やがて顔をこちらに向けると挨拶を返して来た。

「初めまして、私はたてごと♪。カラダに優しいPの称号を頂いています。あなたが切身魚さんですか?」

たてごと♪と名乗る者は、おそらく人族だろうと切身魚は考えた。しかし、こんな祭りの日にいかなる用事で図書館に足を運んだのか、切身魚とたてごと♪は面識はなかったはずである。

「お約束のない人とは切身魚さんはお会いにならないと思いますよ。」

本のページをめくると膝の上にいる猫のクビについた鈴がちりんと音を鳴らした。

「切身魚さんではありませんでしたか。それは大変失礼しました。その内に秘めた魔力。噂通りの方だと思いましたのに。」

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