「なんにせよ、これで一安心ですね。」
天幕に入り、出されたお茶を飲みながらタダトモさんが話し始めた。
「例の2人組のことは気がかりですが、我々はクロスフェードに戻るしかありませんな。」
はなぽさんもお茶を啜っている。
「ドイルさんは、学園の試験を受けるんですよね?」
そういえば、そんな話をしていたな。隊長とのバトルで完全に飛んでた。
「そうですね。」
学園、学園か。まあ、転生していきなりバトルに巻き込まれたことを考えれば、学園生活を送るのも悪くないかもしれない。
「クロスフェードに戻ったらすぐに試験の手続きをしないといけませんね。」
タダトモさんは自分ごとのように張り切っている。
「ドイルさんなら余裕でしょうな。いっそ、隊長のスキル"成レ果テ"でも使って見せては?」
はなぽさんは笑っている。
「あんな危ないスキル使ったら即日不合格になりそうし、やめておきます。」
試験会場を毒の沼に沈めるとか、魔王ルート一直線じゃないか。
そんな他愛ない話をしていると、天幕が開き、よだかさんが顔を見せた。どうやら出発の準備が整ったようだ。