アナザーストーリー:海底の横穴2
「エイさん、無理はするなよ。」
春沢翔兎の届かない声が、そらうみれいを心配していた。
そらうみれいは、海中を進み、海底ミコエル神殿にたどり着いた。やはり慌ただしく海獣族たちが出入りを繰り返している。
そこに一際目立つイルカの獣人がいた。
「雨乞いの儀に向けた派兵の準備はどうなっていますか?」
イルカの獣人は確認を取っているようだ。横に控えているのは……あまり見たことのない海獣族だ。
「すでに陸上部隊の編成を終えました。」
古代魚の海獣族。あれは……
「ありがとうございます。シーラカンスさん。セレスティアには使者を出しましたから、あとは雨乞いの儀式の時に、この神殿からエネルギーを送る準備だけですね。」
雨乞いの儀はそらうみれいも聞いたことがあるが、エネルギーを送るとはどういう意味なのだろうか。
「しょこらどるふぃんさん、少しはお休みになったほうがよろしいのでは?」
しょこらどるふぃん。
おそらくそれが、イルカの海獣族の名前だ。
見た目からして海洋評議会のメンバーであることは間違いないだろう。
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