アナザーストーリー:空欄5
ノヒトは自分のミスだろうと思った。後は、顧問Pに任せれば問題はない。
ノヒトは、越黒リタの書類をファイルに戻し、会議室の電気を消すと部屋へと戻っていった。
同時刻。
顧問Pは部屋に向かって歩きながら、闇姫Pにメッセージを飛ばしていた。
「わざと出身地を書かなかったな?」
顧問Pの声はいたって冷静だ。
「あら?バレた?」
それに対して、闇姫Pはふざけたような口調で話してくる。
「まったく、当然だろう。そのせいで無駄にスキルを使ってしまった。これは貸しにしておくからな。」
こういったことはよくあるのだろう。
顧問Pはあまり気にしていない様子だ。
「負債が溜まってるから、そろそろ返すようにしま〜す。」
「これで入学は決まったようなものだが、あとは知らん。ではな。」
闇姫Pがひどいと言っている声が切る直前に聞こえたような気がしたが、無視しておこう。
「さて、学生たちの歓迎の準備をしなければ。」
クロスフェードにある学園は、あらゆる国の権力が及ばない世界。未だそこに目に見えぬ悪意があることを知る者はいない。