小金井ささらさんはため息をついた。
突然起こされることも多いのかもしれない。
最近、魔物の動きが活性化していると言っていたからな……。
「ドイルさん、あの角を曲がったところです。」
通りを少し進んだところにまた曲がるところがあった。俺たち以外にも曲がっていく人が数名見えた。
タダトモさんに先導されて角を曲がると、路地の先に看板がかけられている場所があるのが見えた。
看板の文字は……「発行所」になっている。
木彫りの簡素なドアが目の前にあり、中からは話し声も聞こえている。
「こんにちは〜。」
タダトモさんが中に入る。
「おう、タダトモさん。」
入ってすぐに声をかけてきたのは、1人の男性だった。
「marさん、お久しぶりです。」
marと呼ばれた男性は、気さくなおじさんという雰囲気だ。
俺と小金井ささらさんもタダトモさんについて中に入る。
「ささらちゃんまで一緒かい。珍しい組み合わせだな。おや?見たことない顔がいるな。」
marさんは俺の方を見て言った
「はじめまして、ドイルと言います。」