アナザーストーリー:蜜柑と酒場と珈琲と3
「もうこりごりですな。そういえば、今年の学園の試験はどのくらいの受験者がいるとか噂は聞いておられますかな?」
はなぽの脳裏にふとドイルの顔が浮かぶ。
「例年とさほど変わらないと耳にしましたが、今年はリッカやプロムナード、アビサルからも受験者が集まっていると聞きました。なかなか強者揃いみたいで、学園側も新しい教師の補充をされたとか。」
さすが、しおまねきは情報通だ。
「先ほど話したドイル殿も学園を受けられるそうなので、合格したらここにも連れて来なければいけませんな。」
はなぽは、ドイルならば合格するとなぜか信じている様子だった。"あの力"を目の前にすればそうなるのかもしれない。
「合格祝いのパーティはぜひうちの酒場で。腕によりをかけてお料理を提供します。」
しおまねきは、ここぞというポイントでのセールスを忘れない。
「ぜひ、お願いしますぞ。さて、それでは私はこれで。」
はなぽは、しおまねきに挨拶をするとその場を立ち去って自宅への道のりを歩き出した。