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アナザーストーリー:蜜柑と酒場と珈琲と5 

はなぽの家が見えてきた。薄いオレンジ色の壁をもつその家は"クラフト"で自ら作成したものだ。タダトモの"ミライノート"で耐久性も保証されている。家の横には工房も隣接しており、それほどの広さはないものの住むには充分なものだった。

「数日休んだらまた出発ですな。」

少し小さくため息混じりのひとりごとだ。はなぽは次の仕事を控えていた。

海洋の国・プリズムのしょこらどるふぃんからの依頼で、海底ミコエル神殿の耐久確認へ行くことになっていたのだ。海へ行くのは久しぶりだ。果樹族である自分にはほとんど縁のない場所でもあった。

はなぽは自宅へたどり着いたが、よく見ればその家にはドアがない。扉が作られていないのだ。

「来客もなかったようですな。さて。」

はなぽは、これまで維持していた人型を解いた。身体が白い煙のようなものに包まれると、そこには黄色く、丸い、蜜柑が出現した。

「元の姿の方がやはり楽ですな。」

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