すれ違い様に姿をを見ている内に、彼女は発行所の中に入り、ドアを閉めてしまった。
「ようこそ、ここはクロスフェードの街だよ。」
marさんの声が中から聞こえる。
どうやら初めてのお客さんらしい。もうそろそろ外も暗くなっている。わりと若そうに見えたが、女性一人で歩けるくらいにはクロスフェードの治安は良いのだろうか。
とはいえ、心配する必要もないか。それに俺たち3人を気にもとめていない様子だった。
そんなことを考えていると……。
「リッカの姫。」
小金井ささらさんがぽつりと何かを呟いた。俺には何のことか分からなかった。