「協会にいる誰かに譲ってもらうしかあるまい。順番に当たるぞ。」
onzeさんは急いで部屋を出ようとしている。
「あの……。」
空気になりつつある俺は言葉を発する。
「すまない、ドイルくん。事情は聞いての通りだ。明日、また来てくれないか?」
onzeさんは俺の力を知らない。それならば当然だろう。俺がonzeさんの立場でも同じように考えるだろう。
だが、俺には「トランスモーフ」がある。
「その人、俺が治します。」
受付の女性とonzeさんは突然の言葉で理解が遅れたらしく、呆気にとられていた。
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俺たちは部屋を出て階段を降りる。
先ほどの受付の前には人だかりができていて、受付にもたれかかるように傷だらけの人が座っていた。
onzeさんが最初にその人に駆け寄る。
「これはひどい。かなり鋭利な刃物で傷つけられたようだね。」
onzeさんの言葉に受付の女性は目をそらした。腕や足には大きな傷が見えている。