「おい、あれ見ろよ。」
一人の受験生が何かに気がついて声を発した。それを機に周りの全員が反応する。声の出所は俺の斜め後ろくらいだ。
「あれは森の戦姫じゃないか。」
「亡国の姫。」
「学園に来ると言う噂は本当だったのか。」
どうやら有名な人のご登場だ。俺も確認しようと後ろを見る。
「あれは……。」
見覚えがある。長い髪と動きやすそうな鎧、剣に施された羽根の装飾。市民証の発行の時にすれ違ったあの女性だ。これほどの有名人だとは知らなかった。彼女は周りのことなど気にもせず、ステージに登り列に加わった。俺とは入ってきた場所が違うようだ。
「あそこを見ろよ。魔物ハンターだ。」
「あれが新鋭のハンター、きいちか。」
「現役のハンターで学園に来るのかよ。」
もう一人、有名な人物が来ていたようだ。きいち……どこかで聞いた名前だ。
ゾクッ
突然、俺の背筋を寒気が襲った。
なんだ?理由は分からないが、いきなり重苦しい空気に包まれた気がする。そして、視線を感じる。どうしたっていうんだ?
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