ステータスもそれほど高くないため、攻撃されても耐えられることは分かった。スキルはかなり物騒な名前だけど。
ガサガサ、ガサガサ
俺はわざと音を立てて草むらを揺らした。
音に反応して文月莉音がこちらを見た。腕を肘から曲げ、爪を前に押し出すような形で戦闘態勢をとる。
「誰っ!」
いきなり声を上げてくるとは強気だな。
「待ってくれ、敵じゃない。」
俺はそう声をかけると、隠れていた木の陰から姿を現した。
「俺はドイル。君と同じ受験生だ。」
わざとらしく両手を上げて敵意がないことをアピールする。文月莉音はこちらを警戒しつつも腕を下ろした。良かった、戦う気はないらしい。
「驚かせてごめん。たぶん、俺たちはチームだと思うんだけど。」
俺は文月莉音に話しかけながら、ゆっくりと近づいた。
「私は文月莉音。前世はゆで卵、来世は筋肉ムキムキになりたい獣人族。」
待て待て、パワーワードが多すぎて思考が追いつかない。
「待って。ゆで卵がなんだって?」
名前以外の部分のインパクトが強すぎる。
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