「でも、束縛する魔法は難しい。」
たしかに、大天使ミコエルの契約書の使用時に発動できる「タイムライナー」のように相手の動きを制限するもしくは阻害する魔法は魔力の消費が激しい。
「罠で足止めとかはできませんか?」
文月莉音は提案する。
「動物たちはかなりの大きさみたいですけど、そんな大きな罠を今から作るのは。」
男手があるとはいえ、残り3人は女性。かいなの意見は最もだ。しかし……。
「どういう罠?」
俺にはアレがある。
「私はリッカで育ったので、よく見たことがあるんですけど。」
そう言って文月莉音が説明してくれたものは、鹿の足に引っかかる輪っかのついた罠だった。たしか「足くくり罠」。
筒のなかに踏み込むことで作動する踏み込み式の罠になっているようだ。鹿が足を輪の中に入れると、バネの力を使って輪が締まるようになっているとのことだった。