「他のチームが近くにいたら取り合いになってしまうし、ここは罠を作って一気に決めましょう。」
俺たち4人は簡単に作戦を立てると、すぐに鹿を迎え撃つ準備に入った。
「見えた。」
小金井ささらの声が4人の歩みを止める。
そこにいたのは巨大な角を持つ牡鹿だった。
後ろに反り返った角は根元で2つに分かれ、先へと向かうに連れてさらに複数に枝分かれしていく。体躯もかなりのものだ。
長く伸びた首と不釣り合いにも感じる程に細い四本の足。角の先までは5メートルくらいはあるだろうか。横幅は7、8メートルはあるかもしれない。角のせいでより一層大きく見える。
「大きくないですか?あんなの想定外ですよ。」
かいなが不安そうにこちらを見る。文月莉音も巨大な鹿から目が離せないようだ。
「ユキちゃん、よろしく。」
そう言うと、小金井ささらはユキちゃんを乗せた腕をそっと鹿の方へと向けた。