俺はその場で待機だ。
「ここはTOMOKI++さんの力だ。」
俺は契約書を発動すると、息を潜めて機会を伺うことにした。
鹿は悠然とした態度で地面にある餌を求めて首を下げている。
かいなと文月莉音も位置についたようだ。
「"雪面灯火"」
小金井ささらの魔法だ。発動と同時に鹿の耳がぴくっと震え、鹿が首を上げた。
ブルゥゥゥ
鹿の呼吸が突然荒くなり、吐いた鼻息が白くなっているのが見えた。
息が白く見える?
俺の頭の中に疑問が浮かぶより早く、鹿のいる足元の草が白く氷ついた。
地面が凍りつくのを感じたのか、寒さからか、鹿はその場を飛び退いた。すごい跳躍力だ。地面を蹴ると掘り起こされた土が舞う。
だが、魔法は同時にいくつも発動されている。鹿の飛び退いた先にも氷の地面が広がっていた。
鹿が足をつくと、その氷が足に纏わり付く。足を凍らせて動きを止める魔法なのか。