もう一人は小金井ささらやかいなとすれ違うように鹿の左側から攻めようとしている。おそらく武器は刀だ。
ガギィィィィィン
やはり金属音だ。
「くそっ。刺さらねえ。」
「俺の剣がっ。」
男の声が聞こえた。槍使いか。
剣の方にも何か被害が出たようだが、ここからでは確認できない。
鹿への攻撃は効果なしといったところか。
ブルウウウウァァァァ
鹿が首を震わせた。息が先ほどより荒い。
興奮状態にでもなったか。
バチィィィ
なんだ?鹿の周りで何かが弾けるような音が聞こえた気がした。
突然現れた槍使いと剣使いは地面に着地し、鹿に対峙する。
文月莉音は右に避けて飛び退いた後、すでに回り込むように移動して小金井ささらやかいなと合流する動きを見せている。
小金井ささらの分身、と言ってもいいのだろうか。分かれた者たちは数名が鹿に魔法を放つ準備に入っているようだ。
バチィィィィィ
まただ。鹿の近く、いや、鹿の角のあたりから音が聞こえた気がする。
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