「逃げて!」
小金井ささらの声が響いた。
刹那。
鹿の角から巨大な雷撃が放たれた。
「なんだ!」
「うぉぁぁぁぁ。」
槍使いと剣使いが雷撃の直撃を受ける。
雷撃は真正面にいる相手に向かっていくだけで、俺の方には来ていない。
どうやら小金井ささら、文月莉音、かいなも影響は受けていないようだ。
武器に反応したのか、攻撃を受けたから反撃したのか。どちらにせよ、あの雷撃はかなり強力だ。
ぶすぶすという音と共に黒くなった二人の身体がドサリと倒れる。
「これはいけませんねえ。」
おっと、この声は。
黒くなった槍使いと剣使いの背後に姿を見せたのはonzeだった。
「不合格者とはいえ、このままでは死んでしまいますからね。」
onzeは二人の身体を抱き抱えると、そのままどこかへ消えた。
鹿は何のことか分からずに反応できていないようだが、標的を見失っても興奮した鼻息は収まることはなかった。
「試験監督はちゃっかりされてるみたいだな。」
俺は周囲を伺う。どこかに隠れて見ていると考えるのが妥当だろう。
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