本編
走りながら腕を広げる。この魔法は、攻撃の讃歌。相手に物理的なダメージを与える度に攻撃の威力を上げる連続攻撃用の魔法だ。
物理攻撃に特化したこの力だからこそ使いこなすことができる。
後は運営神の力を信じるだけだ。
俺は最大の速度で鹿の背後に回る。
その間、小金井ささらは軽微な魔法で鹿に攻撃を加えていたようだが、硬い皮膚のせいなのか効果はない。
鹿の角から発する電撃が見えた。
小金井ささらの"授業参観"で生み出された分身とも言えるうちの数人に雷が直撃して消える。そして、俺のもとにメッセージが届いた。
「"授業参観"が創り出すのは私の影。本体の力を振り分けているから力は弱い。」
そういうことか。数は多いが威力が低い。
だが、撹乱には持ってこいだ。
「それなら後は俺が。」
俺は鹿の背後に立った。