本編
「でも、呼吸はしてないっぽい。」
小金井ささらは鹿のほうを見て言った。
たしかに倒れている。
「心音でも聞いてみます?」
文月莉音は少し心配そうだ。
心音。ああ、そうか。
「少し試したいことがあります。下がっててください。」
俺は三人を少しだけ離れたところへ行かせた。不思議そうな顔をしている三人を横目に俺は契約書を発動する。
「"ミライノート"」
俺はタダトモ、ダンテPの契約書を発動した。これを使えば、鹿の未来を確認することができる。
「ノート?」
後ろでかいなの声が聞こえた気がするが、それは聞こえなかったことにした。
「たしか対象に触れてノートを開く、だったよな。」
ダンテPの説明を思い出しながら鹿の身体に触れると、ノートのページが微かに光を発した。
俺はミライノートに10分後の鹿の姿を描くように願った。10分経っても動いていないなら確実に死んでいるだろう。