本編
ノートのページの光が止んだ。
俺はノートに目を落とす。
「これは……。」
そこにあったのは、黒ずんだ塊。
どう見ても巨大な鹿の原型を留めていない。
「どういうことだ?」
俺が不思議そうな表情をしていたのを見て、小金井ささらが近づいてきた。
「何か……あった?」
ユキちゃんの人形が心なしか首を横に傾けているように見える。
「いえ、鹿が死んでいるかどうかを確認しようと思ったんですけど。」
たしかに死んでいるのだろうが、おかしい。
目の前にある鹿の身体は黒ずんでいない。
どうすれば、ここまで黒くなるのだろうか。
「間違いなく死んでるはず。さっきまであった魔力や力を感じない。」
どういう理屈かはわからないが、小金井ささらも死んでいると判断しているようだから、間違いないのだろう。
「この黒い塊、なんだと思います?」
俺はミライノートのページを小金井ささらに見せた。
「これは炎の魔法で黒くなったもの。」
小金井ささらは即答した。