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「いえ、ここで争うのは愚策。失礼な物言いになったことを謝罪しましょう。」

一触即発かと思われた空気をKAIの一言が緩ませた。

クリスエスも、決して納得はしていないようだが、KAIから視線を外す。

「ここはミコエル教徒以外が来る場所ではない。早々に立ち去れ。」

食えぬ男だ。どこまでが本気かわからん。とでも言いたげだが、クリスエスは再び燃え落ちた十字架に視線を戻した。

それを見て、KAIもクリスエスに背を向け、部屋を出ようとする。

「そうそう、クリスエスさん。以前から気にしておられた"例の4人"が重い腰をあげたようですよ。」

置き土産のようにそれだけを伝えると、KAIは部屋を出ていった。

「動き出したか、異端者共め。ミコエル教異端審問官、このクリスエスが、貴様らの息の根を止めてやる。」

そう言ったクリスエスの目には、まだ炎の十字架が映っていた。

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